「”存在価値”の顕在者」レンタルなんもしない人 #6

6人目は「レンタルなんもしない人」として活動する森本祥司さん。

この方のブランド化からは僕たち「人間の存在価値」について凄く考えるキッカケになりました。

今までに僕が紹介してきたブランド人たちとはまた違うタイプだと思っているので、そこにも注目して読んで頂ければと思います。

プロフィール

参照:東洋経済オンラインより

来歴

❏名前:森本 祥司

❏1983年生まれ。大阪出身。

❏大阪大学の大学院を修了後、出版社勤務を経てフリーランスのライターとして活動後、現在の活動に至る。

❏2020.4/8より『ドラマホリック!「レンタルなんもしない人」』として自身の活動がドラマ化。主演は増田貴久。

何をしている人なの?
  • サービス:「レンタルなんもしない人」

 

「レンタルなんもしない人」という価値

僕がレンタルさんの存在を知ったのはこのツイートでした。

この「キャッチーな名前」と「レンタルするのになんもしない」という点に面白さを感じ、即フォローしてから約二年。まさかドラマ化するほど有名になられるとは思ってもいなかったです。。

 

では一体なぜ彼の存在が多くの人に知られることになったのでしょうか?

 

結論から言うとレンタルさんは

人間の『存在』という”価値”を顕在化させて体現し、現象化させた人

だと思っています。

 

レンタルさんの名が広まり、多くの需要があるのはまさに”今の時代”だからこそなのではないかとも僕は思っています。彼を知ることは僕たちが”今の時代”を知る大きなヒントとなるのかもしれません。

ではそんなレンタルさんの秘密にじっくりと迫っていきましょう。

 

辿り着いた答え

まずはこの「レンタルなんもしない人」という概念が生まれた経緯について。

僕が惹かれたのは、この概念が生まれたのは”突発的なアイデア”と言うよりも、歩んできた人生の中で“辿り着いた答え”だったという点。

 

彼は理系の大学院を卒業後、会社に就職しましたがほどなくして辞め、フリーランスとして活動していました。その活動の中で彼が感じていたこととしては「誰かから何かを期待されることへの強いストレス」とその「ストレスを抱えた上で仕事と向き合うことへの強い嫌悪」でした。

 

何かをしようとすればするほど行き詰まる。

そんなことを繰り返しているうちに彼は「自分はなんもしない方が向いているのではないか」ということに気づきます。

 

そんな時に知った「存在給」という概念と「プロ奢ラレヤー」という存在。

「存在給」というのは「人は何かをしているからこそ価値があるのではなく、そもそも存在していること自体に価値がある」という考え方のことで、そしてそれをまさに体現して生きていたのがプロ奢ラレヤーさんだったのです。

※プロ奢ラレヤーさんのTwitterはコチラ

 

生きてきた中で辿り着いた自分の価値観と、その上でこの等価交換上の世界で生きていける考えとロールモデルの存在が組み合わさったことによって、唯一無二の「レンタルなんもしない人」は誕生したのです。

 

みなさんは「カラーバス効果」という言葉を知っているでしょうか?

カラーバス効果というのは「ある特定のものを意識し始めると自然とそれについての関連情報が目に留まりやすくなる心理効果」のことなのですが、まさに今回これが当てはまるんじゃ、、、とか僕自身勝手に思っていたりもします。笑

 

ともかくして彼の天職であろう「レンタルなんもしない人」はこうして始まったのです。

 

新しい人間関係的価値

では果たして「なんもしない」ことが他者にとってどのような機能をもたらすのでしょうか?

それはまさに本人も言っているように『触媒』としての機能ではないでしょうか。

 

化学で言う触媒とは「化学反応の際に、それ自体は変化せずに他の物質の反応速度に影響する働きをする物質」のことで、それをそのままレンタルさんに転用すると「依頼において、レンタルさん自身は何も干渉しないけれど、それによって依頼者が満足する状態」と言えるでしょう。

 

それこそまさに「存在」が価値に変わる瞬間なのです。

 

僕たちが人間関係を構築していく上で必ずといって避けられないのは“干渉”という現象です。それは悪いことというよりも自然に起こりうることだと僕は捉えています。相手のことを思いやるし、だからこそアドバイスもし合うし、そうやって僕らは人間関係を良くしていこうとします。かつ今の時代は、インターネットという素晴らしい技術の登場によってより他者との関係性を持ちやすくなった時代でもあります。

 

そんなより干渉が”増えうる”世界になった今だからこそ“不干渉”な関係性を求める人たちが増えてきているのではないでしょうか?

 

しかし、ある日突然友人に向かって「ちょっとこれからは俺に干渉しないで欲しい」などと言うことなどできるでしょうか?それってなかなか難しいし、そういうことではない気がするのです。だからこそ初めから「なんもしない(=不干渉)を売りにしている」レンタルさんには需要が生まれたのだと、僕は考えています。

 

  • 誰にも言えないけれど一人では抱えきれない話ができる存在
  • 自分の考えや気持ちについて一切評価されずに客観視ができる壁的な存在
  • 相手のことを気にせずに自分の好きなことをひたすら話すことができる存在

 

というような機能としての存在は一度きりの名前のない曖昧な不干渉な関係性』だからこそではないでしょうか?

 

競合優位性の強さ

そして何より面白いのが「競合優位」という観点で見た時のレンタルさんの強さです。

 

「競合優位」というのは『他社が模倣できない、あるいは模倣しようとしない方法を実践する能力』というマーケティングで主に使われる用語なのですが、これをそのままレンタルさんに当てはめて考えた時に、レンタルさんの場合「模倣することがかなり難しい」のです。

 

なぜか。もし仮に僕が彼を模倣しようとしたとしましょう。その際に僕が考えることって「彼の模倣にどう独自のアレンジを加えて売り出していくか」ですよね。しかしこの『独自のアレンジを加えた』時点でもう「なんかしてる」と言える機能を付けることになり「なんもしない」にはなれないのです。

 

彼はまさに”一席しかない椅子取りゲームの優勝者”と言えるのではないでしょうか。

 

レンタルなんもしない人の魅せ方

「個性」のデザイン

凄く面白いなと思ったのが彼の「個性という概念の捉え方」「彼自身の個性の魅せ方」です。

 

彼が考える個性というのは『人と比べることで成り立つ、集団のなかに身を置いて初めて生まれる、相対的な評価』であると。僕としては凄く本質を突いてる答えだと思います。この世界がもし、人間が一人だけの世界だったとしたら「個性」という概念は生まれることはなかったでしょう。

 

この考えを持った上で彼はどう自分の個性をデザインしたのか。

 

それは「なるべくキャラの薄い、アイデンティティを喪失した没個性的な人間を目指しながらも、個性がなさすぎるという”個性”が生まれないように適度に揺らぎやノイズを入れた」のです。具体的に言えば「自身の変化や時折の暴言、人間味のある発信をする etc…」です。

 

自身のキャラの固定化を避けることこそが彼自身のブランディングに繋がるのだと。これは彼にしかできない”魅せ方”なのではないでしょうか。

 

Twitterという空間

そして彼の”魅せ方”を考える上で外せないのが、彼のTwitterが生み出す『信用創造ステージ』でしょう。

例えばこのツイート。僕が一番好きなツイートなのですが、このツイートがされたことによって何が起きるのか?僕の考えとしては

  1. 自身のポートフォリオになる(=実績アピール)
  2. 依頼/依頼者の多様性の周知(=こういう依頼もあるのか!)
  3. ステージに上がるハードルの低さの証明

の3つではないかと思うのです。彼を既にフォローしている人からすればまた一つ「彼の信用」が積み重ねられ、かつこのツイートがバズればバズるほど今まで彼の存在を知らなかった人たちが知るキッカケにもなります。そして、誰もが依頼者になれる環境下(=ステージに上がれる権利がある)であるので、彼のTwitterを観る人たちはおのずと“前のめり”になるのではないでしょうか?

 

そもそも大前提、レンタルさんの140字内での言葉の表現が巧み、というのがあるんですけどね。。。

 

彼から学んだこと

今回彼を知るにあたって一番学びだったなと思うのは『存在価値という概念の存在』です。

 

今「個人の時代」と言われる時代に突入し、より個人の価値が顕在化しやすい時代になったと思います。だからこそ僕自身もこの『ブランド人図鑑』で「僕が思う唯一無二の個性を持つ人達」を紹介しています。

 

しかしそれと同時にずっと頭に染みついていた疑問として「大前提に個性という人との差別化しうる何かは”絶対”に必要なのか?」という思いがずっとありました。僕たちは『ナニモノ』かであることを求められているのでしょうか?

 

そんな時に出会ったレンタルなんもしない人。

 

この僕たちが生きる世界は「等価交換」の世界だと思っています。僕たちが働いてお金を貰えるのは「誰かにとって価値」であるからです。それを踏まえた上で彼を見た時に、彼は『自身の存在』を価値として人々に提供しているのだと知りました。

 

彼のこの「なんもしないけど価値がある」という視点を持った時に「僕たちはこうして毎日を生きれていること自体に根源的な価値があるのではないか」と思ったのです。僕たちに「資本主義」という枠組みが染みつき、より「個人」で生きていけうる世界になった今だからこそ、忘れてはいけない考えなのではないでしょうか?

 

皆さんは彼の生き方や価値観から何を思い、何を感じますか?

まとめ

いかがでしたでしょうか。

  • 「レンタルなんもしない人」を生み出したモノは「彼の哲学と価値観が辿り着いた究極の答えだった。
  • 多くの人に認知してもらえたのは「自身が持つ”個性”に対する考えをTwitterを通し上手くデザインしていったから。

と言えるのではないでしょうか。

 

これが森本祥司さんのブランド化された「レンタルなんもしない人」という存在なのかと。

また一つ大きな出会いでした。。

 

 

 

 

以上でブランド人6人目の紹介となります。

この生き方を知ることで何か1つでもあなたのプラスになれるよう心より願っております。

 

_________________________________________________

※参考文献:書籍「〈レンタルなんもしない人〉というサービスをはじめます。スペックゼロでお金と仕事と人間関係をめぐって考えたこと」『レンタルなんもしない人のTwitter』

※アイキャッチ画像:「Twitter」より引用

The following two tabs change content below.
当メディア《ブランド人図鑑》運営者。『ブランド人学』という学問を創ることが夢。「人のブランド化」をキーワードに日々研究中。

最新記事 by ヒビキ/ブランド人研究家 (全て見る)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

ABOUTこの記事をかいた人

当メディア《ブランド人図鑑》運営者。『ブランド人学』という学問を創ることが夢。「人のブランド化」をキーワードに日々研究中。